動脈とは、心臓から送られる血液を全身に向けて運ぶ血管のことをいいます。この血管が何らかの原因によって、肥厚化するなどして硬くなる、血管内部が脆弱化している状態を動脈硬化といいます。動脈の内側の壁(内膜)の中にコレステロールが蓄積し、粥状のプラークを形成します。これによって血管は硬化していき、内部は狭窄化していきます。放置が続けば、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症などの合併症に至ることがあります。
動脈硬化を促進させる原因としては、加齢に加え、喫煙、肥満、運動不足、生活習慣病(糖尿病高血圧脂質異常症 等)が挙げられます。
生活習慣病の患者様やその予備群であるとの判定を受けた方は、それらの治療や予防を行うことが重要です。
また日頃の生活習慣を改めることも、動脈硬化の進行を遅らせることにつながります。食生活では、カロリーの摂取量を適切にするほか、高脂肪食を避け、食物繊維が豊富な食品(野菜、海藻、きのこ類 等)を摂取する等です。さらに適度に体を動かすことも大切です。できれば毎日、息がやや上がる程度の有酸素運動(散歩、軽度なジョギング、自転車 等)を30分以上するようにしてください。
上記以外にも、喫煙者の方は禁煙を実践しましょう。このほかストレスにも向き合い、できるだけ負荷をかけない環境づくりを整えることも大切です。

動脈硬化の程度を知る検査として以下のものがあります。

CAVI(Cardio Ankle Vascular Index)

CAVI(キャビィ)は大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。血圧測定や心電図検査と同じように簡単に痛みもなく、数分で検査が出来ます。
動脈硬化の危険因子を持たない人たちの平均値と対比することで、自分の血管年齢を評価する事ができます。同年齢の健常者よりCAVIが高い場合は、それだけ動脈硬化が進んでいると考えられます。

ABI(Ankle Brachial Pressure Index)

ABIは、下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標です。上腕と足首の血圧から算出されます。ABIはCAVIと同時に測定でき非侵襲的な検査ですので、PAD(末梢動脈疾患)患者の早期発見に有用です。PAD(末梢動脈疾患)は、心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多く見られることからも、早期発見が重要です。